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海外マーケティング

マレーシア オンライン安全法:プラットフォーム規範・年齢確認・RM1000万の罰則

by メガマーケティング専門家 2026. 9. 5.

マレーシア オンライン安全法:プラットフォーム規範・年齢確認・RM1000万の罰則

Key Points

  • マレーシアの児童保護規範とリスク低減規範は2026年6月1日に施行。オンライン安全法2025に基づく罰則は最大1000万リンギット
  • 通報された内容は4時間以内にアクセス制限。有料のクリエイター投稿も同じ列に並ぶ
  • 枠ごとに差し替え素材を用意し、投稿数を分散させ、削除と復旧の扱いを契約に書く

マレーシアのオンライン安全規制は、2026年6月に法律から実効性のある規範へ移った

マレーシアのオンライン安全法2025は2026年1月1日に施行された。同時に、手数料・誓約・審判手続き・対応時間を定めた4つの下位規則も動き出している [1]。法律が定めたのは義務の枠だ。MCMC が2026年5月22日に公表した2つの規範が、その義務を日々の運用ルールに落とし込んだ。児童保護規範とリスク低減規範は、いずれも6月1日から効力を持つ [2]。

リスク低減規範は、免許を持つ事業者に対し、年1回の書面によるリスク評価、通報と削除の仕組みの運用、政府発行の記録による広告主の確認、そして合成・改変されたメディアへの表示を求める。児童保護規範はここに年齢確認を足す。マレーシア国内の利用者が800万人以上のソーシャルメディアは、MyKad やパスポートといった政府の記録を照合し、16歳以上だけがアカウントを登録できるようにしなければならない。

MCMC は両方に金額を付けた。法律の第III部の義務を果たさなかった場合、最大1000万リンギットの課徴金がかかる。定められた対応時間を過ぎた場合はこれとは別で、最大100万リンギット、違反が続けば1日あたり最大10万リンギットが加算される。時間は短い。通報の受領確認に1時間、通報された内容へのアクセス制限に4時間、確認後の恒久的な削除に12時間である (Chart 1)。MCMC は、事業者が対応を整えるための猶予期間を設け、大手サービスの年齢確認にはさらに別の猶予を置くとしている。義務そのものは6月から動いている。

 


投稿が削除されたとき、代わりに頼れるオフラインの受け皿はない

マレーシアでは、ブランドが逃げ込める先がほとんどない。マレーシア統計局の2025年ICT調査によると、個人のインターネット利用率は98.3%、その利用者の99.7%が Facebook・Instagram・TikTok などのソーシャルネットワークを使っている [3]。同じ規模と購買力を持つオフラインの層は、その後ろに控えていない。

これは削除の重みを変える。オフラインのリーチが実際に効く市場なら、投稿が1本消えてもインプレッションの損失で済み、メディアプランが吸収する。マレーシアでは投稿そのものが枠だ。クリエイターの動画がアクセス不能になれば、素材もクリエイターの視聴者もコメント欄も、そこに付いた購入リンクも同時に失われる。

復旧の手立ても見た目ほど多くない。素材はクリエイターのアカウント上にあるため、ブランドが自社アカウントで上げ直せば、その素材が効いていた理由のほうが消える。異議申し立てはオンライン安全審判所に持ち込むが、審判所はキャンペーンではなく自分の日程で動く。2週間の出稿なら、結論が出る前に終わることもある。

削除リスクを法務の脚注として扱ってきたプランナーは、これをメディアプランの側に移したほうがいい。予算の配分そのものが変わる。


成果ベースの規範は各社に裁量を残すため、運用はプラットフォームごとに変わる

MCMC は2つの規範に成果ベースの方式を採った。使うべき技術を名指しするのではなく、有害コンテンツを適時に把握し、評価し、削除することを求め、その手段は各事業者に委ねている。目的により良く合うと示せるなら、事業者が独自の措置に置き換えることも認められる [4]。

規制する側から見れば、この柔軟さは現実的だ。だが1つのキャンペーンを3つのプラットフォームで走らせるブランドから見れば、結果は3通りになる。同じクリエイター動画が、あるサービスでは通り、別のサービスでは制限される。判定のしきい値も自動分類器も異議処理も、各社が自分で決めているからだ。

リスク低減規範の義務のうち2つは、広告主に直接届く。事業者は政府発行の記録で広告主を確認しなければならず、海外ブランドが有料の拡散を始める前に一手増える。もう1つは合成・改変メディアへの表示で、多くのチームが通常の制作物として扱っている AI 生成のクリエイティブがここに入る [5]。法律上、どちらの義務もブランドが負うものではない。ただし、どちらもブランドの日程には乗ってくる。

同じ素材でもプラットフォームごとに扱いが変わる前提で組み、最も厳しいところで先に試す。ルールが割れる部分は、1つのマスターを全社に配るのではなく、プラットフォーム別に版を分ける。


削除が起きない前提ではなく、削除されても続く設計でキャンペーンを組む

マレーシアでインフルエンサーキャンペーンをやるな、という話ではない。リーチはあるし、規範が狙っているのは広告ではない。ただ、削除リスクの無い市場を前提に組んだプランでも、いまはそのリスクを負う。

3つの手当てで、露出の大半は抑えられる。出稿が始まる前に、有料の枠ごとに差し替え素材を通しておく。そうすれば削除が失うのは1日で、キャンペーン全体ではない。予算は2、3本の大きな枠に集めず、投稿数とクリエイター数を増やして分散させる。集中させるほど、1件の削除が四半期分の損失に化ける。契約には削除と復旧を書き込む。誰が異議を申し立て、誰が差し替え投稿の費用を持ち、元の投稿が制限された場合に何をもって納品とするか、である。

早めに片付けておきたい小さめの項目も2つある。広告主の確認は、ローンチの週ではなくメディアプランを固める前に済ませる。AI で作ったクリエイティブは、プラットフォームの検知を待たず素材側で表示する。

2026年後半にマレーシアへ入るブランドは、6月に動き出したばかりのルールの下で計画を立てている。去年のメディアプランをそのまま写しても、この部分は入っていない。


参照

  1. Rahmat Lim & Partners, 2026 · https://www.rahmatlim.com/perspectives/articles/32091/mykh-online-safety-in-malaysia-what-you-should-know-about-the-online-safety-act-2025-and-its-subsidiary-legislation
  2. Free Malaysia Today, 2026 · https://www.freemalaysiatoday.com/category/nation/2026/05/22/mcmc-cracks-down-on-harmful-content-with-2-online-safety-act-codes
  3. Jabatan Perangkaan Malaysia (DOSM), 2026 · https://www.dosm.gov.my/portal-main/release-content/ict-use-and-access-by-individuals-and-households-survey-report-2025
  4. Allen & Gledhill, 2026 · https://www.allenandgledhill.com/perspectives/publications/bulletins-malaysia/2026/mcmc-issues-risk-mitigation-code-and-child-protection-code-under-the-online-safety-act-2025/
  5. Jabatan Perangkaan Malaysia (DOSM), 2026 · https://www.dosm.gov.my/portal-main/release-content/demographic-statistic-malaysia-q12026

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